糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
インスリン非依存性糖尿病における尿中グリコサミノグリカン排泄率の意義について
梨本 いつみ
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 32 巻 7 号 p. 533-539

詳細
抄録
インスリン非依存性糖尿病 (NIDDM) におけるグリコサミノグリカン代謝異常の意義を明らかにするために, アルブミン排泄率 (AER) が200μg/min未満を示したNIDDM患者154例および健常者45例を対象に夜間尿におけるグリコサミノグリカン排泄率 (GER) をWhitemannの方法に準じて測定した. 糖尿病群では健常群に比し有意の高値を示し, 特に, Microalbuminuria群ではGERの著増を認めた. 臨床的に細小血管障害が認められなかった群において, GERとクレアチニンクリアランス (Ccr) 間に正の相関を認めた (r=0.62) が, 罹病期間, 平均血圧, 空腹時血糖およびHbA1cとGERとの間に有意の相関は認められなかった. また, 網膜症については, 増殖型網膜症で高値を示した. 糖尿病性細小血管障害におけるグリコサミノグリカン代謝亢進の存在が示唆され, Microalbuminuria群においては, GER亢進が糸球体基底膜の陰性荷電減少の反映である可能性も示唆された.
著者関連情報
© 社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top