糖尿病
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高度肥満を呈し, 脳萎縮を認めた罹病期間11年のインスリノーマの一例
熊谷 尚子相良 光林田 佳子林 秀樹内山 伸二栗並 茂梶原 敬三野中 共平宮原 靖今任 信彦自見 厚郎栗原 宏子船越 顕博
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1989 年 32 巻 7 号 p. 541-546

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抄録
症例は43歳女性, 主訴は意識消失発作.1974年, 妊娠3ヵ月時に突然強直性痙攣を起こした.その後も同様の発作を繰り返すため精神科入院検査の結果, 低血糖発作と診断されインスリノーマを疑い膵血管造影を施行されたが腫瘤は発見されなかった.その後も低血糖発作が頻発するため, 積極的糖分摂取により発作を防止するよう努めていた.その結果, 高度肥満 (+83%, Jones法) を呈するようになった.1985年7月, 再度インスリノーマ確診のため当科紹介となる.膵CTでは著変なく, 経皮経肝門脈カテーテル法 (PTPC) で膵体部よりの採血でIRIの高値を認め, 腹部動脈造影検査で膵体部に腫瘍陰影を認めた.手術にて, 非常に活発なインスリン分泌能を有する膵β細胞腫瘍が摘出された.
本症例はインスリノーマ疑いから11年経過して初めて手術された.
また, 頭部CT検査で大脳の萎縮を確認した.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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