抄録
ケトアシドーシスにて発症したインスリン依存型糖尿病 (以下IDDM) に, インスリン持続皮下注入療法 (以下CSII) を施行中, 色素性痒疹を合併した症例を経験したので報告する.
症例. 44歳男性. 糖尿病性ケトアシドーシスにて入院第3病日より, CSIIを開始した. 第5病日頃より, 著明な掻痒を伴う痒疹様発疹が出現, 血糖コントロールの増悪に伴い発疹も増悪し, CSIIを中断せざるを得なかった. 血糖コントロールの改善に伴い顔面及び四肢の痒疹は軽快した. 皮膚所見及び皮膚生検より色素性痒疹と診断した. 色素性痒疹は本邦において第1例が報告されて以来, 主として本邦で症例報告がなされているが, IDDMと合併した症例は国内外を通じ, いまだ報告をみず稀な症例と考えられた.