糖尿病
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糖尿病に合併した会陰部Synergistic Necrotizing Cellulitisの1例
宮川 高一中村 仁佐藤 栄子藤崎 知文伊藤 芳樹中野 忠澄
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1989 年 32 巻 8 号 p. 601-607

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抄録

糖尿病にガス産生感染症を合併しやすいことが知られている. 今回我々は非クロストリジウム性ガス産生肛門・会陰部壊疽の1例を経験した. 症例は57歳, 女性. 肛門周囲から会陰部・右大陰唇にかけ黒色の壊死組織を認め, 右鼠径部から下腹部にかけて腫脹し, 一部に径10cm大の膿瘍を形成, 前腹壁の皮下には広範に気腫が存在していた。直ちに外科的に排膿切開し, 抗生剤投与及び厳密な血糖コントロールにて救命した. 本症例はStoneらのいうsynergistic necrotizing cellulitisであり, 広範なガス産生に至ったものとおもわれ, Fournier's gangreneと同様の病態と考えられた. 起炎菌は大腸菌とバクテロイデスであり, 好気性菌と嫌気性菌間のsynergisti actionを糖尿病が助長したと考えられた1例であった. Synergistic necrotizing cellulitisは糖尿病などの基礎疾患があると合併しやすく, また死亡率も高いことから注意すべき病態とおもわれ報告した.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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