糖尿病
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高HDL血症, コレステロールエステル転送活性低下をともなった糖尿病の1例
細島 弘行宮内 英二岡田 博司森本 真平中井 継彦山下 静也松沢 佑次
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キーワード: 糖尿病, 高HDL血症, CETA低下
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1989 年 32 巻 9 号 p. 675-678

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抄録

糖尿病ではHDL-コレステロール (HDL-ch) の低下がみられることが多い.われわれは, 高HDL血症を伴った糖尿病の1例を経験しその機序の一端を明らかにするためにコレステロールエステル転送活性 (cholesteryl ester transfer activity: CETA) について検討し, 興味ある成績を得たので報告する.患者は34歳女性で1年前よりインスリン治療中である.HbA1c値11.4%とコントロール不良であるが合併症はみられない.血清脂質には異常ないが, リボ蛋白でHDL-chが111mg/dlと高値を示した.アポ蛋白ではアポA-1値の増加 (163.1mg/d), HDL亜分画でHDL2分画の上昇がみられた.LCAT値は正常であった.また, CETA値 (18.9%) はコントロール (31.2±4.0%) に比し低値であった.本例の高HDL血症の機序にインスリン治療の影響に加えて, CETA低下の関与が推測された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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