糖尿病
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ストレプトゾトシン糖尿病ラットの組織中及び血中過酸化脂質レベルと抗酸化酵素との関連についての研究
酸素障害の腎症, 動脈硬化症への関与の可能性
土橋 一重
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1990 年 33 巻 1 号 p. 13-18

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抄録

ストレプトゾトシン糖尿病ラットの肝, 腎, 心筋骨格筋の抗酸化酵素と組織中, 血中の過酸化脂質を検討した.インスリン非投与糖尿病ラットでは, ミトコンドリアの好気性代謝は, 肝と腎で活性化し, 骨格筋では低下していた.ミトコンドリアのスーパーオキシドジスムターゼ (SOD) も, 腎以外ではこれと平行して変動した.細胞質のSODは, 肝と腎で低下した.グルタチオンペルオキシダーゼは, 全組織で高値または高値傾向であり, カタラーゼは, 肝と腎で低下し, 心筋と骨格筋で増加した.過酸化脂質は, 腎と血中でのみ著増し, 酸化的ストレスの増加を示唆していた.糖尿病の腎では, ミトコンドリアの活性酸素産生増加に対してSODの反応性増加がないために過酸化障害が生じ, 腎症の進展に関与する可能性がある.血中過酸化脂質は, 血管内皮細胞に障害性を有するが, 糖尿病ラットにおける血中レベルの上昇は, 動脈硬化を促進する一つの因子と考えられる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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