糖尿病
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糖尿病性腎症における各種治療法の腎機能低下阻止効果
町村 英郎
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1990 年 33 巻 2 号 p. 137-142

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抄録

糖尿病性腎症の腎機能保持に, 現在使用されている各種治療法のうち, 何れが効果的かについて検討した. 3年以L継続して経過観察した糖尿病性腎症患者 (NIDDM) 79名 (男47名, 女32名) を対象に, 治療内容と臨床指標を比較検討した. 治療は, カルシウム拮抗剤 (CaA), α メチルドーパ (αMD), アンギオテンシン転換酵素阻害剤 (ACEI), 抗血小板剤 (APL), 経口吸着剤 (AST-120), および必須アミノ酸製剤 (EAA) について検討した. EAAとAST-120では低蛋白食を指導した. 腎症進展は血清クレアチニン値逆数の変化率 (△1/Cr) を各治療前後で比較した. 有意差検定はWilcoxon及びSpearman法を用いた. 各治療前後の△1/Cr (mg/dl年) は以ドのごとくであった. CaA (-O.172,-0.120), αMD (-0.132,-0.077), ACEI (-0.170,-0.017), APL (-0・158,-O.147), EAA (-O-179,-O.091), AST-120 (-0.241,-O.203). EAAについて△1/Cr減少抑制が有意に認められた. 低蛋白食ドのEAAの投与は, 糖尿病性腎症の腎機能低下阻止に寄与する事が示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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