1990 年 33 巻 4 号 p. 287-291
尿中Glycylprolyl dipeptidylaminopeptidase (以下GP-DAPと略す) は近年, 腎尿細管障害の指標となるとされている。我々は尿中GP-DAP活性の臨床的意義検討の為, 健常者21名と糖尿病者155名について尿中GP-DAP活性と糖尿病性腎症の重症度を示すとされる尿中Albumin排泄量 (以下AERと略す) を比較検討した.尿中GP-DAP活性は健常群12.30土4.28U/g.cre, 糖尿病者AER≦20μg/min群で16.11±6.50U/g.cre, 20μg/min<AER<200μg/min君羊で30.98±16.82U/g.cre, AER≧200μg/min群で69.86±27.48U/g.creと全ての糖尿病群で上昇し, AERとGP-DAP間にはr=0.697 (P<0.001) の良い相関を認め早期腎症の診断に有用である可能性が示唆された.しかしAER正常群 (AER≦20μg/min) の17%に尿中GP-DAP活性上昇, 尿中GP-DAP活性正常群 (GP-DAP≦20.86U/g.cre) の10%にAERの上昇を認めた。なお本酵素は短期の血糖・血圧のコントロールには強い影響を受けなかった.