糖尿病
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糖尿病患者の脊髄伝導速度と背景因子との関係
久米 裕昭鹿野 昌彦
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1990 年 33 巻 4 号 p. 301-306

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抄録

糖尿病性脊髄神経障害を調べる目的で糖尿病患者に対して後脛骨神経刺激体性感覚誘発電位 (SEP) を測定し, 健常人と比較検討した.皮質SEPは足部感覚領域 (FS) で記録し, 脊髄SEPは第7頸椎棘突起 (C7) および第12胸椎棘突起 (Th12) で記録した.頂点潜時はFS, C7, Th12のすべてにおいて糖尿病群で有意な遅延が認められ, それらの遅延と罹病期間との間に有意な相関が認められた.C7-Th12間の脊髄伝導速度を測定したところ, 糖尿病群では39.9±6.6m/secで健常群44.5±5.6m/secに比べ有意な遅延が認められた。脊髄伝導速度の遅延は, 空腹時の血糖値および罹病期間との間に有意な負の相関が得られた.他の神経学的検査法との関連では腓腹神経感覚神経伝導速度および自律神経テストとの間には有意な相関はなかった.以上より, 脊髄伝導速度の遅延は, 独立した神経障害の可能性が考えられ, 長い病歴を有するものや, 血糖コントロール不良のものに生じやすいことが推察された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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