抄録
経静脈的糖負荷試験により, 耐糖能障害の存在が否定されたバセドウ病48例, 対照健常人15例のグリコヘモグロビンA1 (HbA1) およびAIc (HbAIc) を測定した. 甲状腺機能充進状態にあるバセドウ病19例 (B1) ではHbA・8・0±1.0%, HbA、c4.9±0.5%, 長期間寛解状態を持続しているバセドウ病29例 (B2) ではHbA、7, 1±0.5%, HbA1c4.8±0.4%, 対照15例 (C) ではHbA16.9±0.4%, HbA、c4.7±0.3%であり, B1のみHbA、が有意に上昇していた (P<0.01).B2群, C群ではHbA1とHbA、cは正の相関を示したが, B1では有意な相関が認められなかった. これらの成績から甲状腺機能充進状態にあるバセドウ病症例では, HbA、とHbA、cが解離し, 耐糖能障害とは関連のないHbA、分画の構成成分が増加している可能性が示唆された.HbA、はバセドウ病における耐糖能障害の指標として適当でないと結論された。