抄録
小児期発症IDDMの生命予後に対して医療体制がどのように関連しているかについて, 全国調査された18歳未満発症IDDM1428例を対象に解明を行った.生命予後の指標である死亡率は, 1965~69年診断群よりも1970~79年診断群の方が低かった.医療体制の指標のうち, 病院総数, 医師総数, 一般病院の医師数の対人口数は, 年代による差がほとんどなかったが, それらの指標は1980年代においてのみ死亡率と有意な関連を示していた (P<0.05).また, 栄養士数も両年代において生命予後との関連が認められた.これより, 近年において医療体制が生命予後に及ぼす影響が大きくなっていることがわかった.したがって今後, 生命予後の改善を医療体制の面から考えると, 生命予後と有意な関連を持つ病院数や医師数, 特に人材面では一般病院の医師数と栄養士数の地域差をなくし, 偏りのない医療体制を確立することが重要であると言える.