1991 年 34 巻 1 号 p. 37-42
症例は28歳女性, 糖尿病の家族歴なし.16歳時, 口渇, 多飲, 多尿, 全身倦怠感で糖尿病を発症.初診時, 空腹時血糖FBG286mg/dl, 肥満度15%, ケトアシドーシスなく, 糖尿病性合併症を認めなかった.インスリン療法を続けていたが, 節制不十分のためコントロール不良で28歳時にはtriopathyが出現した.16歳時に施行したPS試験でアミラーゼ1因子の低下を認めた.その後, 膵外分泌機能は漸次低下し, 28歳時には2因子の著明な低下となった.アルギニン負荷試験におけるグルカゴン反応の低下, グルカゴン負荷試験におけるCPR反応の低下を認めた.超音波内視鏡体部CT, ERPで膵体尾部欠損症と診断された.本症の糖尿病, 膵外分泌機能低下の発症, 進展に膵体尾部欠損症の関与が強く示唆された.