糖尿病
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高脂肪食飼育ラットにおける肝Epidermal Growth Factor (EGF) 受容体の動態
インスリン受容体との比較検討
渡會 隆夫
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1991 年 34 巻 10 号 p. 887-894

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抄録

高脂肪 (HF) 食飼育ラットを用い, チロシン特異的キナーゼ (TK) 活性を有し構造・機能上類似性のあるEGF受容体 (EGFR) およびインスリン受容体 (INSR) の結合能・自己燐酸化 (AP) 能を比較した.SD系ラットを2週間HF食 (60%脂肪) または対照 (C) 食 (12%脂肪) で飼育後, 肝マイクロゾーム膜 (MP), 受容体分画 (RP) を調製した.EGFR結合能は, HF群で36.9±6.6%(vs59.9±6.2%C群) と有意に低下し, 受容体数 (R0) の減少を認めた (936±141pMvs1795±119pM).EGFRのAP能は, 蛋白あたりでHF群はC群の40%に低下したが, R0当りでは有意差はなかった.一方INSRでは, 結合能はRPで差を認めず, MPで結合親和性の低下を認め, AP能はHF群で蛋白あたり, R0あたり, ともに低下していた.HF食によりEGFRおよびINSRはともに自己燐酸化能低下を呈し, その原因はEGFRではR0減少, INSRではTK活性の低下と異なった.EGFRの発現・TK活性調節はINSRと異なることが証明された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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