1991 年 34 巻 12 号 p. 1063-1069
経口負荷した蛋白の種類によりGFRを増加させる程度に差がある原因を探る目的で, 健常人6名と糖尿病患者6名に対し,(1) 蛋白0.7g/kg体重のマグロ,(2) 同量の蛋白を含む卵白,(3) 倍量の蛋白を含む卵白を経口負荷した. 健常人に対する (1) の負荷では, GFRが平均98.7ml/分/1.73m2から134.5ml/分/1.73m2まで増加 (p<0.01) したのに対し,(2)(3) の負荷では, 負荷前後でGFRに有意の変化を認めなかった. 糖尿病患者でも同様の結果が得られた. 健常人, 糖尿病患者ともに (1) の負荷でGFRの増加を誘発するアミノ酸の血中濃度の増加がみられたが,(2)(3) の負荷ではこれらの増加は (1) の負荷に比して有意に低かった. 健常人に対する (1) の負荷で尿中6-keto-PGF1α 排泄量が平均215pg/分から484pg/分に増加 (p<0.01) した. 以上より, 経口負荷した蛋白の種類によるGFRの増加誘発程度の違いは, 腎血流増加作用を持つアミノ酸とprostaglandinの増加程度の差によるものであることが示唆された.