糖尿病
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糖尿病ケトアシドーシスを起こした若年肥満インスリン非依存型糖尿病患者の血中islet amyloid polypeptideの経時的変化
光川 知宏年森 啓隆中里 雅光武村 次郎松倉 茂
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1991 年 34 巻 6 号 p. 543-548

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抄録

糖尿病性ケトアシドーシス (DKA) を起こし, その後インスリン治療が不要となった若年肥満インスリン非依存型糖尿病患者について経時的に血中islet amyloid polypeptide (IAPP) の分泌動態を観察し得たので報告する. 症例は20歳, 肥満男性. 1989年7月頃より口渇, 多飲が出現. 同年9月DKAを起こし当科入院入院時の一日尿中CPRは25.7μg/日で, グルカゴン試験での血中CPRは0.3ng/mlから頂値0.9ng/mlと反応不良であり, 血中IAPPも15.6pg/mlから頂値32.1pg/mlと低反応であった.入院加療後インスリン必要量は減少し, 4カ月後にはインスリン療法を中止し得た. グルカゴン試験に対する血中IAPP分泌反応も, 血中CPR分泌反応の回復と共に改善し, 5カ月後のグルカゴン試験では血中CPR, IAPPはいずれも正常反応に復した.以上の結果より血中IAPP分泌能は内因性インスリン分泌能の回復に伴って改善することが明らかとなり, 膵B細胞機能を反映することが示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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