糖尿病
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血糖是正時の屈折異常について
今井 龍幸松田 雅文
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1991 年 34 巻 8 号 p. 671-676

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抄録

血糖低下時に視力低下を認めることがあるが, その頻度・血糖値との関係についての報告は少ない.血糖低下に伴い一過性の遠視化 (最大屈折変化 (以下△Dと略す) は+2.25) による視力低下を認めその改善に数ヵ月を要した1例を経験し, 以後の例でコントロール前後での屈折状態を検討し, △Dと血糖低下幅 (以下△PGと略す)・血糖低下速度との関係を検討した.10例中9例で屈折異常 (全て遠視化で△Dは+0.25-+2.75) を認め, △Dと△PG間では両眼 (右眼: n=10, r=0.888, 左眼: n=10, r=0.863, 共にp<0.01), △Dと血糖低下速度間では右眼 (右眼: n=10, r=0.722, p<0.05, 左眼: n=10, r=0.613, ns) で有意の相関関係を認めた.血糖改善時には多くの例で屈折異常を認め, うち約3割に視力低下を認めた.△PGが100mg/dl以上で屈折異常を生じ, それが大きい程症状として自覚されると考えられた.また, 血糖改善時には網膜症以外に屈折異常を考える必要性が示唆された.

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