糖尿病
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ゴナドトロピン分泌不全症と同時発症したと考えられるインスリン依存型糖尿病の1例
安島 美保小口 朝彦小島 久美子戸塚 康男
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1992 年 35 巻 10 号 p. 851-855

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抄録

49歳女性. IDDM発症後約1年間無月経が続き, Estradiol<10pg/mlと性ホルモン低値にも関わらずゴナドトロピンの上昇を認めないため, 精査目的で入院身体所見異常なし. HbA1c=8.8%, 血中Cペプチド<0.2ng/ml. LH, FSHは基礎値ならびにLHRHへの反応性ともに著しく低下していた. LHRH間欠皮下注入 (10μ9/2h) 6日後, LHおよびFSHの基礎値はそれぞれ6.2mlU/ml, 46.9mIU/mlまで増加したが, LHRHの急速投与への反応性は殆ど認められなかった. ICA, ICSA, 抗下垂体抗体 (GH3細胞及びAtT-20細胞) の各自己抗体が検出されたが, ゴナドトロピン以外の下垂体前葉ホルモンの分泌は保たれており, 甲状腺及び副腎皮質機能も正常であった. MRIではpartial empty sellaを認めた. 本症例はIDDMの発症とほぼ同時期にゴナドトロピンの分泌障害をきたしたと考えられ, 共通する病因として膵ラ氏島, 視床下部-下垂体に対する自己免疫的機序が考えられる.

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