糖尿病
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IDDM患者における長期CSII治療の再評価
特に糖尿病性合併症の進展抑制効果について
高桜 英輔大沢 謙三早川 哲雄臼井 千威子牧野 博
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1992 年 35 巻 12 号 p. 985-991

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抄録

CSIIが臨床に使用されてから10余年が経過したが, 本邦での長期使用例の成績はきわめて少ない. 頻回注射法にて治療中であったIDDMの7例にCSIIを76.3±20.1 (M±SD) ヵ月間使用し, 血糖制御状況と糖尿病性合併症の進行状況について調査した. HbA1cはCSII前10.9±2.7%から治療開始後1年間では7.1±1.7%(P<0.01) へと低下し, 7年間にわたり有意な低値を維持した. 網膜症はCSII開始後6ヵ月以内に一時増悪をみた2例を含め進行をみなかったもの3例, 改善2例, 軽度進行2例であった. 腎症ではmicroalbuminuria (MA) の3例中2例はNormoalbuminuria (NA)へ改善がみられ, 他の1例は不変であった. NAの4例中3例はNAにとどまり, 1例のみが軽度のMAへ進行した. MCVは有意に改善した. 以上の成績より, CSIIによる長期治療は糖尿病性合併症を改善またはその進行を遅延させうることが示唆され, またIDDM患者によく受け入れられていることが明らかになった.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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