糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
月経周期によりインスリン感受性に変化を認めたインスリン依存型糖尿病の1例
大國 智司野津 和巳正木 洋治加藤 議
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 35 巻 5 号 p. 423-427

詳細
抄録

症例は34歳, 女性. 19歳でIDDMを発症以後強化インスリン療法により外来通院中であった. 血糖のコントロールは不良であり, 腎症, 網膜症, 神経障害を合併した. 今回, 白内障の手術前の血糖コントロールを目的として入院した. 入院後, 厳重な食事コントロールとCSIIによるインスリン投与に変更した. しかしながら, 黄体期と月経直前に血糖値の上昇とインスリン必要量の増加が規則的に出現することが認められた. グルコース・クランプ法を用いて月経期, 卵胞期, 黄体期のインスリン感受性を比較検討した. 各々のインスリン感受性を示すブドウ糖注入率 (GIR) は8.07, 7.34, 5.80mg/kg/minであり, 黄体期に著しい低下を認めた. 黄体期のインスリン感受性の低下の原因として, プロゲステロンの上昇が関与していることが推定された. したがって女性IDDM患者の血糖コントロールに悪影響する因子の一つとして月経周期によるインスリン感受性の変化が示唆される.

著者関連情報
© 社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top