糖尿病
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ガス産生化膿性肝膿瘍を合併した糖尿病の1例
上垣 正彦高杉 佑一杉江 広紀辻 和之林 憲雄粂井 康孝並木 正義
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1992 年 35 巻 8 号 p. 683-689

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抄録
ガス産生化膿性肝膿瘍を合併したNIDDMの1例を経験した. 症例は84歳, 男性. 嘔吐, 発熱で発症し, 当院に入院した. 高血糖, CRP陽性, 白血球増多, 胆道系酵素の上昇を認め, ただちにインスリン治療と抗生剤の投与を開始した. 腹部の超音波検査とCT像で少量のガス産生を伴う孤立性化膿性肝膿瘍 (CT上72×92mmのSOL) に特徴的な所見を認めたので抗生物質を変更し, ドレナージを行うことなく順調に治癒した. 肝動脈塞栓術後やエタノール局所注入療法後などにみられる医原性のガス産生症例を除外して集計すると, (非医原性) ガス産生化膿性肝膿瘍の本邦報告例は自験例を含め23例で, このうち糖尿病合併例が20例 (87%) と極めて高率である. 本症の報告例は少ないが, 糖尿病者に多い特徴があり, 早期の診断と治療効果判定には, 腹部超音波や腹部CTによる画像診断が有用と思われ報告した.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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