糖尿病
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肝硬変を合併した糖尿病におけるHbA1c, 血清フルクトサミン, 血清1, 5-AGの臨床的意義
神田 勤中村 美津子岩崎 誠和田 正彦黒飛 万里子志水 洋二
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1993 年 36 巻 11 号 p. 847-854

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抄録

肝硬変では赤血球寿命 (RCST) が短縮し, 血清蛋白濃度が減少していることより, 肝硬変を合併した糖尿病 (NIDDM-LC) の血糖コントロールの指標として, Hb A1c, fructosamine (FRT) および1.5 anhydroglucitol (AG) のいずれが適当かを検討した.
NIDDM LC18例のHb A1cは1月前の空腹時血糖値 (FPG) と正相関したが, FRTは2週間前のFPGと, AGは採血当日のFPGとそれぞれ相関しなかった. RCST19日以上をA群, 18日以下をB群とすると, B群ではA群に比し肝機能が低下しており, A群ではHb A1cと1月前FPGおよびFRTと2週間前FPGの間に正相関を認めたが, B群ではHb Alcと1月前FPGの間のみに正相関を認めたことより, FRTは肝機能低下が進行したNIDDM-LCでは, 血糖コントロールの指標として不適と思われた.一方, NIDDM-LCのHb A1cはFPGを一致させたDM30例に比し, 低値 (平均1.7%, 0.5%~2.2%) を示した.
以上はNIDDM LCではNIDDMに比し, Hb A1cは低値を示すものの, FRTやAGに比べ血糖コントロールの指標として有用であることを示している.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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