糖尿病
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ヒト血管内皮細胞のIV型コラーゲン合成に及ぼすグルコースの影響
森谷 茂樹
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1993 年 36 巻 4 号 p. 299-306

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抄録

糖尿病性細小血管症の発症機序を明らかにする目的でヒト膀帯静脈血管内皮細胞 (HUVEC) の単層培養系を用い, 基底膜主要構成成分であるIV型コラーゲンおよびラミニンP1産生におよぼすグルコースの影響について検討した. ELISA法にて測定した細胞培養上清中ならびに細胞分画中のIV型コラーゲン量は, グルコース濃度依存性, ならびに培養時間依存性に増加した. 高グルコース培養96時間後においても細胞形態に変化は認められなかった. 30mMグルコース添加にて33H-プロリンの取り込みは増加したが, 細胞分画中蛋白量や3H-チミジンの取り込みの増加はなかった. 一方, 培養上清中のラミニンP1量はグルコース濃度による影響を受けなかった. 以上の結果からグルコースの直接作用によるHUVECからのIV型コラーゲン合成の亢進が示唆され, 糖尿病における高血糖状態がIV型コラーゲンの産生増加をきたし, 基底膜肥厚を惹起することが推測される.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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