糖尿病
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36 巻, 4 号
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  • カテゴリ化による初診時糖尿病性網膜症の危険因子多変量解析
    松本 都恵子, 岡 芳知, 大橋 靖雄, 菊池 方利
    1993 年36 巻4 号 p. 261-268
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病性網膜症危険因子の多変量解析にあたり, カテゴリ化による変数選択法を提示することを目的とし, 東京大学第三内科のインスリン非依存型糖尿病1, 200例の初診時眼底所見ならびに19項目の臨床所見を検討した. 19項目の臨床所見は, “性別”, “年齢”, “罹病期間” の疫学基本要素と, 所見相互の相関ならびに網膜症との関連から, Body mass indexを中核とした “肥満”, 血糖値を中核とした “高血糖”, 血圧を中核とした “高血圧”, コレステロールを中核とした “動脈硬化” の7カテゴリーに分類された. 各カテゴリの主要所見を変数として多変量解析した結果, 罹病期間, 収縮期血圧, 初診時BMI (負), GTT 120分血糖値が網膜症の有意な危険因子とみなされた. 多彩な臨床所見をカテゴリ化し変数を選択する本方法は, 複雑な交絡因子の問題を調整する点で臨床的に有用な方法と考えられた.
  • OGTTとIVGTTでの検討
    浅野 喬, 二田 哲博, 漢 幸太郎, 二宮 寛, 山本 登士, 奥村 恂
    1993 年36 巻4 号 p. 269-275
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    glucose負荷に反応する膵insulin分泌に対して, 末梢血中insulinとC-peptideの何れがより近似しているか検討した. 健常者10例に75 gOGTTと, 血糖を一致させたisoglycemic ivglucoseを施行し, また他の7例にIVGTT (0.59/kg glucose) を施行し, prehepatic insulin secretion (ISR) を算出した. OGTT時のISRは, basal 100%とすると, 15分値8±1.0倍と増加した. 血中insulin値は, ISR反応と差はなく血中C-peptideは, 15分, 30分値で有意の低値を示した. Isoglycemic iv glucoseでのISRに対応する末梢膵ホルモン反応は, oral glucoseの時と同じ傾向であった. IVGTTでのISRに対しても, 血中insulinは, 差がなく, 血中C-peptideでは3分から20分まで有意の低値を示した. 膵β細胞機能の評価には, 末梢血中C-peptideよりもinsulin測定がより近似していると結論されたが, 正確に評価するには, kinetic studyによる膵insulin分泌の算出が最もよい方法といえる.
  • 紀田 康雄, 柏木 厚典, 田中 逸, 小川 勉, 阿部 奈々美, 池淵 元祥, 朝比奈 崇介, 高木 敬文, 吉川 隆一, 繁田 幸男
    1993 年36 巻4 号 p. 277-283
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    自律神経障害を有する糖尿病患者の突然死は既に報告されているが, その頻度や臨床特徴は明らかではない. 本研究では606例の糖尿病患者の中での突然死の頻度と臨床的特徴を調べた. 平均観察期間は7年であった. さらに交感神経機能の指標としてのQTc間隔を, これら糖尿病患者と年齢, 性をマッチした45例の非糖尿病健常者とで比較し, 突然死との関係を検討した. 1) これら606例の糖尿病患者中既に127例が死亡しており, 39例 (約31%) が突然死であった. 2) 突然死例は生存例と比較すると高齢で高血圧, 虚血性心疾患, 自律神経障害, 末梢神経障害, 壊疽, 腎症の合併頻度が高かった. 3) 突然死例の死因には心・脳血管障害が多かったが, 半数以上で死因の詳細は不明であった. 4) QTcは糖尿病群では生存例 (418±26msec), 突然死例 (445±33msec) 共に対照群 (401±17msec) と比べ有意に延長していた. 5) 突然死群の著明なQTc延長には自律神経障害の関与が示唆された.
  • 野崎 剛弘, 内潟 安子, 武井 洋一, 馬場園 哲也, 高橋 良当, 大森 安恵
    1993 年36 巻4 号 p. 285-291
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    発症から1年以上経過したインスリン依存型糖尿病 (IDDM) 患者287名の発症形式と臨床像を, 自己免疫性甲状腺疾患 (ATD) 合併群 (19名) と非合併群 (268名) に分けて比較検討した. 発症形式は糖尿病の発症から1日インスリン量0.5U/kgを必要とするまでの期間によって, acute (A), subacute (SA), slowly progressive (SL) の3型に分けた. ATD合併群はSL型の割合が高いのに対し, 非合併群はA型が多く, 両群間にはIDDMの発症形式に差異を認めた. ATD合併群では, 男性は4名全員がSL型であり, 女性に比して発症形式に片寄りを認めたが, 非合併群では認めなかった. またATD合併群は, A型に比しSL型の発症年齢が有意に高かったが, 非合併群では各発症形式問に有意な年齢差はなかった. 以上, ATD合併群ではA型とSL型に臨床上差異を認めたが, ATD非合併群では各発症形式間に有意な差を認めなかった. SA型は両群とも10数%認めたが. 有意な臨床的特徴はなかった.
  • 特に急速な血糖コントロール是正による発症例の臨床像
    雨森 正記, 安田 斎, 吉川 隆一, 繁田 幸男
    1993 年36 巻4 号 p. 293-298
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病性単神経障害の発症要因と臨床的特徴について検討した. 過去12年間に当科に入院した糖尿病性単神経障害は24例で, 同期間の入院糖尿病患者における頻度は3.1%であった. 動眼神経, 外転神経, 腓骨神経の障害が多かった. 単神経障害患者は, 高齢者に多く, 単神経障害発症時に血小板凝集能が亢進している症例が多かった. 男性ではほぼ全例が喫煙していた. 眼筋麻痺の症例は高齢であり, 糖尿病罹病期間が長く, 血清コレステロール値が高く, 他の糖尿病性合併症も多い傾向にあった. 単神経障害発症時のHbA1値と年齢とは有意な負の相関があり, 良好な血糖コントロールであっても高齢者は単神経障害を発症する可能性があると考えられた. また急速な血糖コントロール改善後に単神経障害を発症した症例が5例 (20.8%) 認められ, 全例女性であり対称性末梢神経障害を伴っていた.
  • 森谷 茂樹
    1993 年36 巻4 号 p. 299-306
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病性細小血管症の発症機序を明らかにする目的でヒト膀帯静脈血管内皮細胞 (HUVEC) の単層培養系を用い, 基底膜主要構成成分であるIV型コラーゲンおよびラミニンP1産生におよぼすグルコースの影響について検討した. ELISA法にて測定した細胞培養上清中ならびに細胞分画中のIV型コラーゲン量は, グルコース濃度依存性, ならびに培養時間依存性に増加した. 高グルコース培養96時間後においても細胞形態に変化は認められなかった. 30mMグルコース添加にて33H-プロリンの取り込みは増加したが, 細胞分画中蛋白量や3H-チミジンの取り込みの増加はなかった. 一方, 培養上清中のラミニンP1量はグルコース濃度による影響を受けなかった. 以上の結果からグルコースの直接作用によるHUVECからのIV型コラーゲン合成の亢進が示唆され, 糖尿病における高血糖状態がIV型コラーゲンの産生増加をきたし, 基底膜肥厚を惹起することが推測される.
  • 1993 年36 巻4 号 p. 307-339
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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