糖尿病
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冠動脈硬化病変進行における糖尿病の意義
冠動脈造影所見からの検討
西尾 宏之久津 見恭典加藤 浩司越野 雄祐嶋田 佳文多田 浩藤原 隆一林 多喜王中井 継彦宮保 進
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1993 年 36 巻 9 号 p. 725-732

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抄録
糖尿病 (DM) における冠動脈硬化病変の進行機序を明らかにするため, 2回の冠動脈造影検査を施行した72症例を対象にして, 冠動脈硬化病変進行に対するDMの関連性およびその特徴を検討した. 全症例ではDM・喫煙・アポB・アポB/A-I比が冠動脈硬化病変進行との関連性を認めた. DM患者25例では総コレステロール・LDLコレステロール・アポB・アポB/A-I比が, 非DM患者47例では喫煙・肥満・アポB・アポB/A-I比で関連性を認め, DMの有無により関与する危険因子に違いを認めた. またDM患者における空腹時血糖・ヘモグロビンA1cには関連性を認めなかった以上よりDMは冠動脈硬化病変進行の危険因子であり, その進行にはDMのコントロール状態よりも, 合併する脂質代謝異常がより強く関与していることが示唆された. さらにその脂質代謝異常には, 非DM患者が質的な異常のみであるのに対し, DM患者では質・量ともに異常を認めた.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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