糖尿病
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OGTT境界型症例における動脈硬化の定量評価
インスリン抵抗性との関連性の検討
松島 洋之山崎 義光西沢 秀子児玉 峰男久保田 稔河盛 隆造鎌田 武信
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1994 年 37 巻 12 号 p. 889-894

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抄録

OGTT境界型症例 (境界型) では高率に心血管死を認めるとされるが, 境界型における動脈硬化度を定量評価した報告はない.早期の動脈硬化を定量評価すべく, 超音波断層法により頸動脈内膜中膜複合体肥厚度 (avgIMC) を計測し, 進展因子としてのインスリン抵抗性の関与を検討した.境界型92名, 健常者87名のavgIMCを測定, 境界型では健常者に比し, いずれの年代でも著明なavgIMC肥厚を認め (40歳台の境界型, 健常者のavgIMC;1.17±0.20mm, 0.73±0.09mm p<0, 001), 糖尿病と同程度, 動脈硬化が進行していた.血糖クランプ法では感受性低下, 分泌初期相低下, 後期相保持により, 高インスリン血症を惹起する特質を示し, さらに, 75gOGTTのΣPG, ΣIRIにより4群に分類すると, 高IRI群でavgIMCは有意に肥厚していた.境界型では, インスリン抵抗性と特有なインスリン分泌不全により, 高血糖・高インスリン血症が惹起され, 動脈硬化が有意に進展する可能性が示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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