糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
実験的糖尿病性末梢神経障害に対するイブジラストの効果
矢崎 俊二大島 淳国香 尚也染谷 一彦
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 37 巻 3 号 p. 215-222

詳細
抄録

動脈硬化の予防・改善作用を持ち, 循環改善効果のある3-isobutyryl-2-isopropylpyrazolo [1, 5a] pyridine (以ドィブジラストと略す) は, 糖尿病性末梢神経障害に対する治療効果が期待される.そこで, ストレプトゾシン (以下STZと略す) 糖尿病ラットの, 下肢運動神経伝導速度および坐骨神経血流壁の低下に対するイブジラストの作用を検討した.糖尿病群では神経伝導速度と神経血流量よ有意に低下したが, STZ投与直後にイブジラストを投与した群では, 神経伝導速度と神経血流量の低下の抑制効果が認められた (STZ投与後8週まで実験).イブジラスト単独投与では, 正常ラットの神経血流量と糖尿病ラットの血糖値に有意な変化は認めなかった.イブジラストの血行障害に対する効果と考えられ, 新しい有力な糖尿病性末梢神経障害治療剤としての可能性が示唆される.

著者関連情報
© 社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top