糖尿病
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37 巻 , 3 号
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  • 林辺 英正, 朝山 光太郎, 土橋 一重, 内田 則彦, 加藤 精彦, 中澤 眞平
    1994 年 37 巻 3 号 p. 171-176
    発行日: 1994/03/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病合併症成因に関与する赤血球膜脂質過酸化のメカニズムを明らかにするために, ヒト赤血球を試験管内で高濃度グルコースに暴露し, 過酸化水素で誘発される膜脂質過酸化反応とこれに対する各種抗酸化剤の影響について検討した.赤血球を27.8mMおよび55.5mMグルコースに暴露すると, 糖化蛋白の増加に平行して膜脂質過酸化が増強した.過酸化は, 赤血球内還元型グルタチオン濃度をチオール化合物により増加させると増強され, thiol blockerで低下させると抑制されたが, この状態でもグルコース濃度に依存する増強が認められた.過酸化はビタミンEでほぼ完全に抑制され, hydroxyl radical消去剤, 金属キレート剤によっても有意に抑制された.高濃度グルコースによる過酸化促進にはグルタチオン依存性の機構とグリケーション自体による機構があり, いずれの機構も赤血球膜内におけるフリーラジカル連鎖反応を介する酸化障害と示唆された.
  • 稙田 太郎, 黒木 宏之, 有井 浩子, 丸山 明子, 青木 かを里, 斉藤 節, 花田 一, 大森 安恵
    1994 年 37 巻 3 号 p. 177-185
    発行日: 1994/03/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    目的: インスリン非依存型糖尿病 (NIDDM) におけるインスリン抵抗性 (IR) が, 欧米で提唱されている如く, 複数の冠動脈疾患危険因子 (CAD-RF) を結び付ける要因として関与しているか否かを検討した.方法: 対象は細小血管障害の軽度な成人NIDDM135 (男88, 女47) 例で平均年齢50.9 (20~79) 歳, BMI23.6 (15.0-38.9) kg/m2, 罹病期間6.9 (0.1-28) 年およびHbA1c9.8 (5.4-17.4)%であり, うち30例に冠動脈疾患 (CAD) の合併を認めた.IRは人工膵を用いる正常血糖クランプ法 (インスリン注入率1.12mU/kg/min, 恒常静脈血糖80mg/dl) によりGlucose infusion rate (GIR) を求め, whole bodyのIR指標とした.成績: 1) NIDDM患者のGIR値には著しい個人差が認められ, 約40%の患者は健常者のGIRに相当するレベルを示した.2) NIDDM患者のGIR値 (3.79±220mg/kg/min, M±SD) は, 健常者 (6.81±1.65) および耐糖能境界型対象者 (5.87±2.34) のそれより有意に低値であった (P<0.001).3) 高血圧はGIR値の低い患者群ほど, またCADを有する患者群で高頻度に出現し, IRと密接に関連することが示された. 4) CAD-RF (高血圧, 高トリグリセライド血症, 低HDL-コレステロール血症, 肥満) の集積が高い程, GIRは低値傾向を, 一方, 空腹時血中IRIは高値傾向を示した. 5) 年齢, 性, 肥満度, 血糖コントロールをそれぞれ対応させた2群間で比較すると, CADを有する群はCADを有しない群に比べ, GIR値は有意に低値を示した (2.03±0.65vs3.57±1.69, p<0.01).6) GIR値は空腹時血中IRI, TG, BMI, 血圧, HDLコレステロールとそれぞれ有意の相関を示した.結語: NIDDM患者において, IRはCAD-RFと密接に関連し, それらを集積する要因としての役割を演じている可能性が示唆された.したがって, わが国のNIDDMにおいても, Syndrome Xの病態的意義は少なくないものと思われる.
  • 萩野 晴彦
    1994 年 37 巻 3 号 p. 187-196
    発行日: 1994/03/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    インスリン受容体 (以下Ins-Rと略す) 抗体とホスホチロシン (以下PYと略す) 抗体を用いてIns-R自己リン酸化能測定enzyme-linked immunosorbent assay (以下ELISAと略す) 法を開発し, インスリン抵抗性を有する糖尿病患者における検討を行った.本測定法の自己リン酸化Ins-Rに対する特異性はautoradiography上Ini-Rβ サブユニットへの32Pの取り込みとELISAの値が良く相関し (r2=0.98), ホスホアミノ酸の中でPYのみが第2抗体であるPY抗体の結合を阻害したことにより確認された.健常人の赤血球を各種濃度のインスリンで処理すると, PY抗体の結合は最大刺激において基礎値から約8倍の上昇を認め, ED50は1, 6×10-9Mの濃度でみられた.測定感度は全血80μlで十分であった。この測定系を用いて高IRI血症を呈する患者16名を検索した結果, 3名の患者はIns-Rの自己リン酸化能障害による糖尿病が示唆された、簡便かつ高感度0) 本測定法は糖尿病患者におけるIns-Rチロシンキナーゼの役割を明らかにする上で有用であると考えられた.
  • 今村 武史, 浜田 順三, 繁田 幸男, 小林 正
    1994 年 37 巻 3 号 p. 197-205
    発行日: 1994/03/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    典型的なA型インスリン受容体異常症を示した症例において, インスリン受容体遺伝子にGlu1179→Asp1179のミスセンス変異がヘテロ接合体で認められた.母親にも同様の変異を認めた.患者由来の赤血球, トランスフォームリンパ球および線維芽細胞のインスリン結合は正常の12.5-22%に低下し, これは膜表面受容体数の低下によると考えられた.この変異インスリン受容体をCOS7細胞に一過性に発現させて機能解析を行った.その結果, 変異インスリン受容体の自己リン酸化能に著明な低下を認めるとともに, 変異受容体を発現した細胞のインスリン結合能は, 正常コントロールの31%に低下した.その機序は, 細胞膜表面受容体数の減少によると考えられ, 患者由来細胞での解析結果と一致するものであった.以上より, インスリン受容体チロシンキナーゼ部位の変異Asp1179が自己リン酸化能の異常のみならず, 膜表面受容体の減少によってインスリン抵抗性を惹起することを示した.
  • 森田 千尋, 荷見 澄子, 新城 孝道, 大森 安恵
    1994 年 37 巻 3 号 p. 207-213
    発行日: 1994/03/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病性壊疽の病態に凝固線溶系の異常がいかに関わるかを新しい線溶マーカー・tissue plasminogen activator plasminogen activator inhibitor complex (以下tPA-PAI複合体) を中心に検討した.壊痕を有さないNIDDM患者22名 (DM群), 壊疽を有する患者27名 (neurogenic type11名: DM+NG群, atherogenlc type16名: DM+AG群) と健常人10名 (C群) を対象とした.EIA法によりthrombill antithrombinlll-complex (以下TAT), α2 Plasmin inhibitor Plasmin comPlex (以下PIC), tissue-plasminogen activater (以下t-PA), plasminogen activator inhibitor1 (以下PAI1), tPA-PAI複合体を測定した.PICはDM群0.93, DM+NG群1.21, DM+AG群1.56, C群0.69であり, tPA-PAI複合体はDM群9.9, DM+NG群15.7, DM+AG群19.1C群11.3であった.以上より壊疽を有する糖尿病群では, PIC, tPA-PAI複合体共に高値であり線溶亢進状態であることが示された.
  • 矢崎 俊二, 大島 淳, 国香 尚也, 染谷 一彦
    1994 年 37 巻 3 号 p. 215-222
    発行日: 1994/03/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    動脈硬化の予防・改善作用を持ち, 循環改善効果のある3-isobutyryl-2-isopropylpyrazolo [1, 5a] pyridine (以ドィブジラストと略す) は, 糖尿病性末梢神経障害に対する治療効果が期待される.そこで, ストレプトゾシン (以下STZと略す) 糖尿病ラットの, 下肢運動神経伝導速度および坐骨神経血流壁の低下に対するイブジラストの作用を検討した.糖尿病群では神経伝導速度と神経血流量よ有意に低下したが, STZ投与直後にイブジラストを投与した群では, 神経伝導速度と神経血流量の低下の抑制効果が認められた (STZ投与後8週まで実験).イブジラスト単独投与では, 正常ラットの神経血流量と糖尿病ラットの血糖値に有意な変化は認めなかった.イブジラストの血行障害に対する効果と考えられ, 新しい有力な糖尿病性末梢神経障害治療剤としての可能性が示唆される.
  • 小林 健一
    1994 年 37 巻 3 号 p. 223-231
    発行日: 1994/03/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 島 健二, 遠藤 治郎, 老籾 宗忠, 大島 一洋, 大森 安恵, 片山 善章, 金沢 康徳, 河合 忠, 河盛 隆造, 菅野 剛史, 清瀬 ...
    1994 年 37 巻 3 号 p. 233-243
    発行日: 1994/03/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    1) グリコヘモグロビンの標準化に関する委員会はHbA1c測定値の標準化, 正常値及び糖尿病患者にとって達成すべき目標値の設定, などを目的に活動することとした.そのための基礎資料としてHbA1c測定値の施設間差の実態調査を行った.その集計結果をまとめ, 中間報告として報告する.
    2) 日本糖尿病学会評議員が勤務し, HPLC法にてHbA1cを測定している施設およびいわゆる大手検査所など計109施設を調査対象とした.これら対象施設に低, 高濃度の凍結乾燥血液検体 (国際試薬社製) 各1本および健常者, 糖尿病患者より得た新鮮血検体各1本を氷冷状態で送付し, 各施設が日常行っている方法で測定を依頼した、その際, 測定機器の機種, 不安定HbA1c分画除去の有無測定値の補正の有無, さらに当該施設で使用している正常値についても調査し測定結果と共に回答を求めた.それらにつき107施設より回答を受け, 以下のような分析結果を得た.
    3) 全体評価: 凍結乾燥血液検体 (以下凍乾品と略), 健常者血液検体 (以下Nと略) および糖尿病患者血液検体 (以下DMと略) それぞれの平均値 (M), 最大値 (max), 最小値 (min) および変動係数 (CV) は以下の如くであった (単位はいずれも%).
    凍乾品1;M5.0, max6.2, min4.3, CV6.3, 凍乾品2;M10.0, max11.6, min8.6, CV4.2, N;
    M5.4, max6.8, min3.7, CV10.4, DM;M10.9, max13.4, min7.7, CV10.5.また, 測定値の度数分布は凍乾品の場合一峰性であったが, N, DMの場合は共に二蜂性となった.
    4) 測定機種別評価: 京都第一科学社製 (KDと略), 東ソー社製 (Tと略) 測定機器使川施設数はそれぞれ54, 51であった.各検体の機種別平均値は以下の如くであった (単位はいずれも%).凍乾品1;KD4.9, T5.2, 凍乾品2;KD10.1, T10.0, N;KD5.1, T5.8, DM;KD10.6, T11.3.
    5) 不安定HbA1c分画除去, 未除去別評価: 除去53施設, 未除去54施設であった.不安定HbA1c分画除去, 未除去別M, max, min, CVは以下の如くであった (単位はいずれも%).
    除去群: 凍乾品1;M4.9, max5.5, min4.3, CV6.1, 凍乾品2;M10.0, max10.7, min8.6, CV 4.4, N;M5.0, max5.7, min37, CV8.0, DM;M9.9, max10.9, min7.7, CV5.4.
    未除去群: 凍乾品1;M5.1, max6.2, min4.6, CV6.0, 凍乾品2;M10.1, max11.6, min8.8, CV 3.9, N;M5.8, max6.6, min4.8, CV6.5, DM;M11.9, max13.4, min8.9, CV52.
    6) 凍乾品測定値の平均値をみかけ上の標準表示値とし, N, DM測定値を補正して再集計: 凍乾品1, 2の測定値の平均値を標準表示値と仮定し, その値と各施設の凍乾品の実測値から補正係数を算出した.この係数で各施設のN, DMの実測値を補正, その補正測定値を再集計した.その結果は, 除去群, 補正後のN;M5.1, max6.3, min3.8, CV7.3, DM;M9.9, max12.8, min7.6, CV6.7, 未除去群補正後のN;M5.7, max6.2, min5.0, CV3.7, DM;M11.9, max12.9, min10.1, CV42 (単位はいずれも%) となった.
    7) 各施設の正常値: 各施設が使用している正常値は上限値, 下限値とも実測値の施設問差の大きさと同程度の差異を示した.
    HbA1c測定値の施設間差の大きいことのひとつの要因として, 不安定HbA1c分画除去, 未除去施設の混在, 測定機種により測定されるHbA1c分画の特異性の相違などが考えられる.前者の要因に対しては安定分画のみの測定に統一すること, 後者に対しては標準表示値で補正すること, などにより施設間差是正の可能性があると結論した.
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