抄録
マクロファージ (Mφ) における糖化LDL (G-LDL) の処理機構を解明するために, 正常ラット (C群) および糖尿病ラット (DM群) 腹腔Mφによる無処理LDL (N-LDL) とG-LDLの細胞内蓄積最および分解量の差異を検討した.
C群およびDM群で, MφによるG-LDLの細胞内蓄積量と分解量はN-LDLに比して有意に高かった.MφによるN-LDLあるいはG-LDLの細胞内蓄積量および分解量は, C群とDM群の間で差を示さなかった.一方, DM群で, Mφによる無処理アルブミンと糖化アルブミンの細胞内蓄積量には差がみられず, アセチル化LDL (A-LDL) の分解量はG-LDLの過剰添加でも抑制されなかった.以上より, MφによるG-LDLの取り込みはN-LDLに比して増加しており, またDM群Mφで, G-LDLはA-LDLのスカベンジャーレセプターなどの特異的な高親和性レセプターを介さない経路で処理されることが示唆された.