糖尿病
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妊娠時における糖尿病網膜症とInsulin-like growth factor I (IGF-I)
北岡 千晶内潟 安子嶺井 里美清水 明実佐中 真由実大森 安恵封馬 敏夫
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1994 年 37 巻 9 号 p. 641-648

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抄録

IGF Iが妊娠中に糖尿病網膜症を悪化させるかどうかを調べるために, 糖尿病妊婦137名 (IDDM 42名, NIDDM 95名) を対象とし正常妊婦47名をコントロールに用いて, 経時的に血清IGF Iを測定した.血清IGF Iは酸エタノール法で抽出した後, RIAにて測定した.正常妊婦ではIGF Iは妊娠にともなって増加し, 妊娠後期には初期の約1.5倍となった.IDDM妊婦NIDDM妊婦ともに正常妊婦と同じ変動を示したが, NIDDM妊婦はIDDM妊婦よりやや高値の推移を示した.妊娠中に増殖網膜症に進行した群の60%は妊娠中期に増殖性変化に先だってIGF-Iが一過性に上昇していた.また妊娠中のIGF-Iの変動量は増殖網膜症に進行した群で大きかった.IGF-Iの一過性上昇および変動量の増大は網膜症の悪化と関連することが認められ, IGF-Iは妊娠時の糖尿病網膜症の増悪因子の一つと考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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