糖尿病
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37 巻, 9 号
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  • 北岡 千晶, 内潟 安子, 嶺井 里美, 清水 明実, 佐中 真由実, 大森 安恵, 封馬 敏夫
    1994 年 37 巻 9 号 p. 641-648
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    IGF Iが妊娠中に糖尿病網膜症を悪化させるかどうかを調べるために, 糖尿病妊婦137名 (IDDM 42名, NIDDM 95名) を対象とし正常妊婦47名をコントロールに用いて, 経時的に血清IGF Iを測定した.血清IGF Iは酸エタノール法で抽出した後, RIAにて測定した.正常妊婦ではIGF Iは妊娠にともなって増加し, 妊娠後期には初期の約1.5倍となった.IDDM妊婦NIDDM妊婦ともに正常妊婦と同じ変動を示したが, NIDDM妊婦はIDDM妊婦よりやや高値の推移を示した.妊娠中に増殖網膜症に進行した群の60%は妊娠中期に増殖性変化に先だってIGF-Iが一過性に上昇していた.また妊娠中のIGF-Iの変動量は増殖網膜症に進行した群で大きかった.IGF-Iの一過性上昇および変動量の増大は網膜症の悪化と関連することが認められ, IGF-Iは妊娠時の糖尿病網膜症の増悪因子の一つと考えられた.
  • 岡田 功
    1994 年 37 巻 9 号 p. 649-657
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    起立性低血圧症 (OH) を有する糖尿病者での起立による尿蛋白増加の起源を明らかにする目的で, OH合併群 (24例), OH非合併群 (17例) を対象に, 起立による腎血行動態ならびに尿アルブミン (ALB) 排泄率の変化を検討した.さらに, 一部の例 (OH合併群9例, OH非合併群8例) については, 尿蛋白をSDS-PAGEを用いて高分子量蛋白 (HMWP), ALB, 低分子量蛋白 (LMWP) に分け, 蛋白組成の変化も検討した.起立により, 腎血漿流量 (RPF) は2群とも低下したが, OH合併群1で著しかった.糸球体濾過率 (GFR) はOH合併群で低下したが, OH非合併群では変化しなかった.尿HMWP, ALB, LMWP排泄率はOH合併群でより著明に増加した.以上より, OHはALBのみならずHMWP, LMWPの尿排泄率増加を助長させることが明らかになった.この際, RPF, GFRが著しく低下し, 糸球体および尿細管機能異常が生じると考えられる.OHは糖尿病者の腎機能に悪影響をもたらす可能性があると思われる
  • 佐藤 利昭, 正木 洋治, 岡 暢之, 野津 和巳, 古家 寛司, 大国 智司, 高木 千恵子, 宗宮 基, 山本 裕之, 西木 正照, 田 ...
    1994 年 37 巻 9 号 p. 659-665
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    インスリン非依存型糖尿病患者61名と健常者10名について非観血的携帯型自動血圧計を用い1日24時間の血圧1を測定した.健常者では, 昼間 (9~23時) の平均収縮期血圧は夜間 (23~7時) の平均収縮期血圧より高値を示した.糖尿病患者61名中46名 (A群) では健常者と同様に夜間より日中収縮期血圧は高値であったが, 15名 (B群) では夜間の平均収縮期血圧は昼間の平均収縮期血圧より高値を小した. AB群間で年齢, 罹病期間に差を認めなかった.しかし, 糖尿病腎症の合併率はA群よりB群において有意に高値であった.糖尿病患者における日中と夜間平均収縮期血圧値の差は, 24時間クレアチニンクリアランス, 心電図R-R間隔のCV%と有意な正相関, BUNと負の相関を示した.これらの成績から, 糖尿病患者における血圧口内変動の異常には, 副交感神経系の機能障害が関与し, 糖尿病性腎症合併患者に出現しやすいと結論される.
  • 嫌気性作業閾値に基づく運動指導の有用性
    田中 逸, 柏木 厚典, 前川 聡, 朝比奈 崇介, 高木 敬文, 高原 典子, 繁田 幸男, 山下 義則, 辻 元宏
    1994 年 37 巻 9 号 p. 667-674
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    地域保健所と協力して, 肥満指数20%以上の肥満女性53名 (平均47歳) を対象に嫌気性作業閾値 (Anaerobic Threshold: AT) に基づく運動指導を6カ月間施行した.対象者の耐糖能は指導前, 正常型 (32%)/耐糖能異常型 (62%)/糖尿病型 (6%) が, 指導後各々57%/41%/2%へと改善した (P0.01).対象者と保健婦との面接により運動習慣を獲得した群と非獲得群に分類すると, 運動習慣獲得群では非獲得群と比較して, 体重, W/H-比, ΣPG, ΣIRIはいずれも明らかに改善した.さらに指導前後でATを測定しえた30例について, 指導後のAT時酸素排泄量 (VO2) が15%以上改善した運動能改善群では, ΣPGが658→510mg/dl (P<0.01), ΣIRIも205→151μU/ml (P<0.01) へと下降し, 運動能改善と同時にインスリン感受性改善が示唆された.従って, 保健所における地域保健教育としての肥満者に対する長期運動指導は, 今後, 糖尿病発症予防に大いに寄与すると期待される.
  • 貴志 豊, 佐々木 秀行, 中 啓吾, 松本 元作, 中野 好夫, 澳 親人, 森田 一, 大星 隆司, 古田 眞智, 井辺 美香, 三家 ...
    1994 年 37 巻 9 号 p. 675-680
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病性大血管障害 (macroangiopathy) の一つ脳血管障害について臨床的特徴を調べ, 発症に関与する因子を検討した.対象は脳血管障害により入院した糖尿病患者69例で, そのうち24例については発症6カ月前の血圧, HbA1cの推移を検討した. CT所見では, 多発病巣が53%, 穿通枝系の病巣が61%にみられた.脳出血を除く66例の年齢分布は50歳代と70歳代にピークを持つ二峰性の分布を示し, 65歳以下で発症した群では, 66歳以上で発症した群と比較して, HbA1c, 尿酸値, 中性脂肪が有意に高値を示した.降圧治療者では発症6~4カ月前の平均収縮期血圧に比べ, 1カ月前の収縮期血圧は有意に低下していた.糖尿病合併脳血管障害では穿通枝系の多発小梗塞が多いこと, 高血糖等の代謝障害により脳血管障害発症年齢が引き下げられている可能性のあることが示唆された.また脳梗塞発症に血圧の低下が関与している可能性が推察された.
  • 中村 俊之, 土屋 朝則, 小野木 啓人, 田近 正洋, 松下 知路, 宅野 雅美, 安田 盛, 伊藤 陽一郎, 中村 重徳
    1994 年 37 巻 9 号 p. 681-685
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は42歳男性.主訴は全身倦怠感および歯肉出血, 四肢の点状出血. Charcot-Marie-Tooth病および糖尿病で通院加療中であったが, 血糖コントロール不良のため, glibenclamideからchlorpropamideに変更したところ, その10日後に全身倦怠感と鼻および歯肉出血, 四肢の点状出血を訴えて来院した.血小板数は0.3万/mm3と著明に減少し, 一方, 白血球数, 赤血球数には異常なく, 骨髄像にも異常を認めなかった.なお, 血小板表面IgGは624ng/107plt.と増加を示した. chlompropamideを中止し, インスリン, 血小板輸血, prednisoloneの投与を開始し, 約1週間で血小板数は17万/mm3と増加し, 出血症状も改善した.特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) との鑑別は困難な場合が多いが, 本例では偶然の再投与により再度血小板減少をきたし, chlorpmopamideによる血小板減少症と診断される結果となり, 免疫学的機序が示唆された.
  • 荒木 勉, 東福 要平
    1994 年 37 巻 9 号 p. 687-693
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    腫性膀胱炎と前立腺膿瘍の合併が認められた糖尿病の1例を報告する.症例は56歳男性.45歳頃よりインスリン治療を継続していたが, 入院約2か月前に自己判断で中止.全身衰弱, 発熱血尿, 気尿を主訴に入院.検査所見および腹部X-Pで膀胱内にガス像が認められたことより, 糖尿病性ケトアシドーシスおよび気腫性膀胱炎と診断し, インスリンと抗生剤による治療を開始したが, 発熱とWBC著増が持続し, DICを併発した.骨盤部CTで前立腺内部に低吸収域が認められたことより前立腺膿瘍と診断し, 抗生剤による保存的治療を継続したところ, 約5週間の経過で膿瘍は消失し, 全身状態も改善した.気腫性膀胱炎, 前立腺膿瘍はともに糖尿病に合併する頻度が高く, 特に血糖コントロール不良の患者において尿路感染症が認められた場合には腹部X-P・超音波検査・CTなどを施行し, 早期診断, 外科的治療を含めた早期治療が必要である.
  • 1. 赤血球中ソルビトール
    黒田 紀行, 多田 達史, 梶川 達志, 新見 道夫, 石田 俊彦, 河西 浩一
    1994 年 37 巻 9 号 p. 695-698
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    A sensitive and simple method of high-performance liquid chromatography with pulsed amperometric detection (HPLC-PAD) has been developed to determine red cell sorbitol, a potentially useful indicator of diabetic complications. Red cells were hemolyzed with deionized water and deproteinized with ultrafilter Centricon-10. Red cell sorbitol was separated with sugar pak Pb columns, eluted with deionized water at 80°C, and detected using PAD. The standard curve for sorbitol was linear up to 10.0μg/ml.The CVs for within-run precision (n=20) were 9.81% at 0.24 μg/ml and 2.65% at 4.18μg/ml. Analytical recovery was 99.3%. Red cell sorbitol values determilled by the enzymatic method (X) were higher than those obtained by the HPLC-PAD method (Y)(n=25, y=0.45x+7.80, r=0.804, X=45.04nmol/gHb, Y=28.38nmol/gHb). We analyzed red cell sorbitol from normal subjects and diabetic subjects. The sorbitol levels were 17.27±9.12 (mean±SD) nmol/gHb in the normal subjects (n=11), 31.00±12.29nmol/gHb in diabetics without complications (n=16), and 61.10±25.11nmol/gHb in diabetics with complications (n=6). The HPLC-PAD method for red cell sorbitol will be useful in assessing polyol abnormalities in diabetes mellitus.
  • 1994 年 37 巻 9 号 p. 699-712
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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