起立性低血圧症 (OH) を有する糖尿病者での起立による尿蛋白増加の起源を明らかにする目的で, OH合併群 (24例), OH非合併群 (17例) を対象に, 起立による腎血行動態ならびに尿アルブミン (ALB) 排泄率の変化を検討した.さらに, 一部の例 (OH合併群9例, OH非合併群8例) については, 尿蛋白をSDS-PAGEを用いて高分子量蛋白 (HMWP), ALB, 低分子量蛋白 (LMWP) に分け, 蛋白組成の変化も検討した.起立により, 腎血漿流量 (RPF) は2群とも低下したが, OH合併群1で著しかった.糸球体濾過率 (GFR) はOH合併群で低下したが, OH非合併群では変化しなかった.尿HMWP, ALB, LMWP排泄率はOH合併群でより著明に増加した.以上より, OHはALBのみならずHMWP, LMWPの尿排泄率増加を助長させることが明らかになった.この際, RPF, GFRが著しく低下し, 糸球体および尿細管機能異常が生じると考えられる.OHは糖尿病者の腎機能に悪影響をもたらす可能性があると思われる
抄録全体を表示