1995 年 38 巻 12 号 p. 971-977
症例は33歳, 男性. 1986年 (25歳) 尿糖を指摘されたが放置.1991年6月急に心窩部痛をきたして入院. 乳糜血症, 高血糖および血尿あり, 膵炎, 糖尿病および尿路感染症として治療し回復したが, 退院後の食生活が乱れがちで急性腹症を発し1992年4月に再入院し, 同上治療で軽快・退院.さらに1993年6月左背部痛, 発熱および食思不振のため入院した (第3回). 体型は女性様で, 肥満・女性化乳房・小陰茎を認め, 萎縮した睾丸を硬く触れた. HbA1c 10.9%, amylase血清 (膵型); 138, 尿; 2, 155IU/l, 総chol 881mg/dl, TG 2, 551mg/dl, HDL-chol 18mg/dl, VLDLおよびchylomicronの高値, ならびに画像所見より, NIDDM, V型高脂血症および膵炎と診断した. 性染色体の検索で核型46, XX/47, XXYのモザイクが判明し, 睾丸の生検にて精細管の高度萎縮とLeydig間質細胞の増生した病理組織を得てKlinefelter症候群と診断した.
Klinefelter症候群に肥満, 糖尿病を伴い, 著しい高脂血症による膵炎をくりかえした症例の記載はなく, これらの合併に考察を加えた.