抄録
経皮経管的冠動脈形成術 (PTCA) 後の再狭窄率と糖尿病 (DM) コントロール状態の関連について検討した.対象は1983年から1991年2月までに実施されたPTCA連続施行1282例中, 家族性高脂血症・腎不全・不安定狭心症・PTCA後1カ月以内の冠動脈バイパス術例を除いた安定狭心症で, 待機的PTCAが成功した203例中インスリン非依存性糖尿病 (NIDDM) 群86名と非糖尿病例 (N) 群117名である.PTCA施行前後における血圧, 空腹時血糖食後2時間血糖, HbA1c, 脂質値, 喫煙歴, 狭窄病変枝数, 再狭窄の有無を検討した.PTCA施行1年以内の再狭窄率は全体で37%であり, NIDDM群は43%とN群32.5%に比しやや高率であったが有意ではなかった. DMコントロ-ル状態から対象をGood群, Fair群, Poor群に3群すると再狭窄率はそれぞれ37%, 40%, 75%で, Poor群は他群に比べ再狭窄率は有意に高率であった.多変量解析においても, DMコントロール不良群ほど再狭窄の多いことが示唆された.