糖尿病
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低蛋白食が有効と思われたネフローゼ症候群を呈した糖尿病性腎症の7例
木戸 靖彦小山 文明見明 俊治平田 幸正
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1995 年 38 巻 4 号 p. 275-282

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抄録

1993年の1年間に, ネフローぜ症候群のため入院した糖尿病性腎症の連続7症例 (R群) に対し, 体重 (kg, 22× 身長 (m) 2) 1kg当たり0.79/dayの低蛋白食を試み, その効果を1992年12用以前に同疾患にて入院した連続5症例 (C群) の成績と比較した.蛋白摂取量 (g/kg/day) はR群 0.70±0.05, C群1.24±0.28であった (mean±SD, P<0.001).入院治療開始後1ヵ月でR群7例では浮腫は全例で軽快傾向を示し体重も平均5kg減少, その後もC群に比しネフローゼの経過は良好であり, 体外限外濾過法 (ECUM) は必要でなく透析への移行例は入院3ヵ月後1例, 9ヵ月後1例であった.他方C群では浮腫は1例を除いて改善せず, ECUMが2例にご実施され, 入院治療開始後6ヵ用内に5例中4例が透析療法へ移行した.尿中蛋白排泄量 (g/day) はR群で全例減少傾向がみられ治療前8.5±2.1から1ヵ月で5.9±1.7となったが (p<0.05), C群では減少を認めなかった.
血清アルブミン (g/dl) はR群で前値2.7±0, 2から1ヵ月後には増加, 3ヵ月で3.2±0.3へと上昇したが (P<0.001), C群では2.6±0.4から1ヵ月後にには減少した.血清クレアチニン値 (mg/dl) はR群で2ヵ用まで有意な変化はなく (2.4±1.6から2.5±1.6), 3ヵ月で僅かに上昇したが, C群では2.8±0.7から1ヵ月後には3.8±1.1と有意な (p<0.05) 上昇を認めた.
以上のように, ネフローゼ症候群を示す糖尿病性腎症においても. 蛋白食とするてとによって (今回, 0.7g/kg/day), 腎機能障害の進行を遅延させ得るてとが示された.

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