1996 年 39 巻 2 号 p. 91-96
当科外来通院中のインスリン非依存型糖尿病患者190名を無作為に選び, 下肢閉塞性動脈硬化症 (ASO) の有無を調べた. ASOの診断基準はAnkle Pressure Index (API) 0.9未満でしかも血管造影で50%以上の狭窄あるいは閉塞を証明できたものとした.その頻度は全体で8.4%であった. 正常アルブミン尿群で3%, ミクロアルブミン尿群で7%, マクロアルブミン尿群で20%であった. 相関分析でAPIに悪影響を与える因子の重要性を検討した. HbA1, 抗高脂血剤内服, 喫煙 (以前), 収縮期血圧, 喫煙 (現在) の順に重要性は増加していた. 多重ロジスティックモデル分析では, 収縮期血圧, HbA1, HDLコレステロール, 喫煙 (以前) が独立したASOの起生の危険因子と判明した. ASOの進程阻止には高血圧のコントロール, 禁煙の指導, 低HDLコレステロール血症と高血糖の是正が重要であると考えられた.