糖尿病
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安定同位体標識グルコーストレーサー法によるin vivo糖代謝動態の解析
柴 雄一
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1996 年 39 巻 4 号 p. 255-263

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抄録

安定同位体 (SI) 標識グルコースを用いるトレーサー法における至適な誘導体化を検討し, 正常ラットのin vivo糖代謝動態解析に応用した. グルコースの誘導体化法としては, 種々のSI標識グルコースのgas chromatography/mass spectrometry解析から, トリフルオロアセチル化が, (1) 高質量域のイオンピークが出現すること, (2) 同位体ピーク比が安定していること, などから優れていることを認めた. 正常SD系ラットにおいて, 無麻酔・非拘束下で [6, 6-2H2]-グルコース持続注入下に4段階のインスリン注入率でeuglycemic clampを行った結果 (各5匹), (1) 基礎時の肝糖産生 (HGP) が7.2mg/kg・minであること, (2) インスリンに対する末梢組織グルコース取り込みの最大反応は42.1mg/kg・min, EC50値は45μU/mlとなること, (3) HGPは動脈血漿インスリン濃度100μU/ml付近で完全に抑制されること, を見いだした. かかる知見は従来報告されているRIトレーサー法の結果とよく一致し, 本法の妥当性が確認された.

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