喫煙が糖尿病患皆の生命予後に及ぼす影響を長期経過観察により検討した. 対象は当センターの登録糖尿病患者のうち, 喫煙状況の明らかな35歳以上のNIDDM患者1, 700例で, 平均観察期間は14.8±6.5年, 喫煙率は男64.6%, 女13.1%であった0男における非喫煙者1,000人年対死亡率は32.13であるのに対し, 喫煙者は37.46, またO/E比はそれぞれ1.26対1.84で, 喫煙者に有意に高値であった. また, 非喫煙者に対する喫煙者のOdds比は1.45となり, 喫煙者は非喫煙者より死亡リスクが有意に高いことが見いだされた0そこで, 喫煙者と非喫煙者の死因をOdds比によって比較すると, 喫煙者では悪性新生物が増加し, とくに肺がんの増加が著しいが, 同時に胃, 肝など他の部位のがんの増加もみられた. 喫煙者ではさらに心疾患, 脳血管疾患などの大血管疾患および腎疾患の増加がみられた. そのほか, 肺炎・気管支炎の増加も顕著であった.