1996 年 39 巻 8 号 p. 599-604
糖尿病性腎症の指標として, 尿中IV型コラーゲン測定が有用か否かを検討した. 酵素免疫測定法で測定した尿中IV型コラーゲンは, ゲル濾過で540kD付近の単一ピークを示し, intactコラーゲンを測定していると思われた. 尿中IV型コラーゲン排泄量には, 日内・日差, および運動による有意な変動は認められなかった. 外来通院中のインスリン非依存型糖尿病患者139名を24時間AERにより3群 (正常アルブミン尿, 微量アルブミン尿, 顕性蛋白尿) に分類し, 随時尿を用いて尿中IV型コラーゲンを測定した. 糖尿病患者の尿中IV型コラーゲンは, 健常者群より有意に高値であり, かつ腎症の進行ともに有意に増加した. また, 正常アルブミン尿群において, 尿中IV型コラーゲン高値例がすでに65%存在した. 以上より, 尿中IV型コラーゲン測定は, 糖尿病性腎症の指標として有用である可能性が示唆された.