糖尿病
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小腸上皮細胞IEC-6におけるinsulin-like growth factor-Iによるオルニチン脱炭酸酵素の活性化機構とブドウ糖濃度による影響
松村 一弘小島 秀人日高 秀樹吉川 隆一
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1997 年 40 巻 3 号 p. 147-154

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抄録
糖尿病動物における, 栄養素の吸収異常に関与すると考えられる腸上皮過形成に着目し, モデル細胞株IEC-6細胞を用いて検討した. Insulin-like growth factor I (IGF-I) は, ポリアミン生合成の律速酵素で細胞増殖に重要な役割を持っオルニチン脱炭酸酵素 (ODC) のmRNA発現を6倍, 活性を19倍, [3H] チミジン取り込みを4倍に増加させた. チミジン取り込み増加はODC阻害剤にて, ODC活性増加は転写阻害剤にておのおの抑制され, IGF-I作用には遺伝子発現を介したODC活性増加を必要とした. 一方培地中のブドウ糖濃度の変化は, 100-450mg/dlまで濃度依存性にODC活性および [3H] チミジン取り込みを増加させたが, ODC mRNA発現には影響せず, ODC蛋白レベルでの効果であった.これらの成績は, 糖尿病動物における腸上皮過形成の成立機序の一部を説明すると考えられた.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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