糖尿病
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染色体異常を有したグルタミン酸脱炭酸酵素 (GAD) 抗体強陽性若年発症NIDDMの1例
吉森 邦彰福井 道明藤井 光広繁田 浩史中埜 幸治近藤 元治西村 康孝衣笠 昭彦
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1997 年 40 巻 5 号 p. 293-297

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抄録
染色体異常を伴う心奇形を持って出生, 17歳でNIDDMと自己免疫性甲状腺疾患 (Graves病) を併発グルタミン酸脱炭酸酵素 (GAD) 抗体の異常高値を示した症例を経験したので報告する. 症例は, 17歳, 女性. 9歳時染色体異常46XX, add (18)(q23) を指摘される. 1994年秋より多飲, 多尿を認め, 1995年4月27日精査目的入院となる. 検査成績では, 空腹時血糖165mg/dl, HbA1c8.2%と血糖コントロールは不良であったが, 尿中C-ペプチド (CPR) およびグルカゴン負荷での血中CPR (Max) はそれぞれ110μg/gCre, 3.3ng/mlと内因性インスリン分泌能は保たれており, 現在はNIDDMの病態と考えられた. また甲状腺機能亢進も見られた. 一方, ラ氏島抗体, ミトコンドリア抗体, 下垂体抗体は陰性であったが, 抗甲状腺抗体は陽性, GAD抗体価は750U/mlと著明高値を示した. 本例でのGAD抗体価著明高値の原因として自己免疫性甲状腺疾患, 染色体異常の関与が推察された.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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