糖尿病
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速効型インスリン治療開始以後に肝機能障害の出現をみた糖尿病の1例
工藤 智洋清水 弘行入内島 徳二森 昌朋
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1998 年 41 巻 1 号 p. 43-47

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抄録

症例は53歳, 男性. 頻回の下痢と低塩糖による昏睡状態にて近医入院. 内因性インスリン分泌能の著しい低下と糖尿病性胃麻痺および下痢症, 重篤な神経障害を伴ったリスフラン関節のシャルコー関節症を認めるとともに速効型インスリンによる強化治療開始以後出現した肝機能障害の精査目的にて紹介入院となった. 高血糖と頻発する低血糖にてペンフィル製剤によるスライディングスケール法による強化インスリン療法開始と消化管機能改善薬による下痢の改善とともに血糖コントロール改善を認めたが, 肝障害は継続し, 肝生検にて非特異的炎症所見を認めた. ペンフィル製剤よりヒューマカート製剤に変更し, 肝機能の改善傾向が認められたことより, 肝障害の一因には本症例における肝障害へのインスリン製剤の製造過程の相違が関与する可能性が推察された. 速効型インスリンによる強化療法開始以後に肝障害出現をみたシャルコー関節症合併糖尿病の1例を報告した.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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