GAD抗体陽性のNIDDMでは, 将来IDDMになる確率が高いことから, NIDDMにおけるGAD抗体とHLAを測定し, GAD抗体の臨床的意義を検討した. NIDDM901例にGAD抗体 (RIA法), クラスII HLA (DNA typing) を測定したところ, 食事療法群 (D) 2.8%(n=317), スルホニル尿素剤群 (SU) 3.9%(n=413), インスリン治療群 (Ins) 7.6%(n=161) にGAD抗体陽性 (5U/ml以上) を認めた. そこで10~12月後にGAD抗体を再検したところ, D群では9例中9例, SU剤群では16例中10例, Ins群では12例中7例で陰性化した. D群, SU剤群でGAD抗体持続陽性を示した群 (n=6) では, 消失した群 (n=19) に比し空腹時血清CPRが有意に低く, 空腹時血糖値, HbA1cが有意に高かった. またGAD抗体持続陽性でSU剤治療が継続された3例では, 血清CPRが著明に低下した. HLADRおよびHLADQでみると, GAD抗体持続陽性NIDDMのハプロタイプは, acute onset IDDMやSPIDDMと異なり, 一定の傾向を認めなかった. 以上は, GAD抗体の経月的測定は糖尿病の成因診断および治療法の選択に有用であることを示している.