糖尿病
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腎移植生着者における糖尿病の発症頻度とその要因の検討
野見山 理久赤木 公博中本 雅彦合屋 忠信吉成 元孝藤島 正敏
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1999 年 42 巻 10 号 p. 837-842

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抄録

腎移植患者における糖尿病 (DM) の発症頻度とその要因を検討した.移植後平均5.0年経過した60例の移植腎生着者のうち, 移植後にDMと診断されて治療中, またはGTTで診断基準を満たしたDM発症例は12例 (20%) と高頻度であった. DM群と非DM群では, ステロイドの投与量およびサイクロスポリンの血中濃度に差を認めなかった. DM群の年齢は非DM群に対して有意に高く (p<0.005), 移植後DMの発症は40歳未満で27例中2例 (7%) に対し, 40歳以上では33例中10例 (30%) と高値を示した. さらに, 40歳以上でDMの家族歴を有する場合には, 8例中5例 (63%) と高率にDMが認められた.以上の結果より, 腎移植患者では免疫抑制剤の投与量にかかわらずDMの合併頻度が高く, 特に中年以上でDMの家族歴を有する症例では腎移植後にDMを発症する可能性が高いことを留意しなくてはならない

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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