2000 年 43 巻 1 号 p. 33-38
本研究は, 簡易血糖測定器を用いて歯肉および指尖より採取した末梢血中の血糖値を測定し, 両者間の関係を分析することにより, 歯肉末梢血を用いた血糖値測定の歯科臨床における応用の可能性を検討するものである.
44名の被験者について, Probing Depth (以下PD), Attachment Level (以下AL), Debris Index (以下DI), Gingival Index (以下GI), Body Mass Index (以下BMI), 糖尿病の有無, 採血時の疼痛に関し診査を行った. 末梢血中の血糖値は, 簡易血糖測定器を使用し測定した. 年齢層, BMI別, 糖尿病の有無, AL別, GI別, 測定時間帯で分類した場合どの群においても歯肉および指尖より採取した末梢血中の血糖値は良好な相関関係 (r=0.980) が認められた. このことより, 歯科医師がチェアーサイドで採血を行いやすい歯肉から採取した歯肉末梢血を用いて, 痛みが少ない血糖値測定を行うことが出来る可能性が示唆された.