糖尿病
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温湿布薬の貼付により糖尿病性足壊疽を発症した2型糖尿病の1例
金森 晃土信田 文隆町田 充高田 哲秀中嶋 真一神 康之守屋 達美的場 清和藤田 芳邦矢島 義忠
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2000 年 43 巻 2 号 p. 147-150

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抄録
49歳, 男. 罹病歴17年の重症の糖尿病性トリオパシーを合併した2型糖尿病. 足のしびれ感を癒す目的で両足趾および足蹠部に市販温湿布薬を貼付して車の運転を長時間行った. その後, 貼付部に水疱を形成し, 感染を併発して両足壊疽をきたした. 高血糖是正, 抗生物質投与, 免荷, デブリードマンなどの保存的治療により右足壊疽は治癒したが, 左V趾は中足骨切断術を余儀なくされた. 用いられた温湿布薬にはカプサイシンと同様の作用をもつノニル酸ワニリルアミドが比較的高濃度に含有されている. 本症例では温湿布薬が的確に使用されなかったために, ノニル酸ワニリルアミドによる接触皮膚炎が惹起され, さらに糖尿病性神経障害が存在するために皮膚刺激症状の認知が遅れ水疱形成をきたしたと考えられた, カプサイシンは糖尿病性表在性疼痛に対する治療効果が認められているが, 使用法を誤まると足皮膚潰瘍などの糖尿病性足病変の誘因になる可能性があり注意を要する.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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