症例63歳女性. 初診時, 随時血糖400mg/d
lを超え, コントロール不良にもかかわらず, 不安定型分画を含む総HbA
1cは8.3%であった. 食事療法, 経口血糖降下剤使用で, 総HbA
1cは5.7%に低下したが, 食後2時間血糖値は200~300mg/d
lを示し, 総HbA
1cとの間に解離を認めた. 高速液体クロマトグラフィー (HPLC) によるヘモグロビン分析では異常溶出ピークを認め, 等電点電気泳動, アミノ酸解析でβ鎖43 (CD2) のグルタミン酸がグルタミンに置換されたHb Hoshidaであると判明した. Hb Hoshidaに合併した糖尿病は, われわれが検索し得た限りでは本邦3例目である, 先の2症例では共にHbA1cの低値が発見の契機であった.本症例では糖尿病が当初コントロール不良であり, 異常ヘモグロビンの推測は困難と思われた. 家族内検索で, 長女にHb Hoshidaを確認したが, 糖尿病はなくHbA
1c2.3%と異常低値を示していた.
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