糖尿病
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エレンタール®投与で著明な高インスリン血症とそれに引き続く重症低血糖をおこした神経性食欲不振症の1例
岡田 雅美神谷 吉宣神野 靖也早野 順一郎石原 慎二岡田 暁宜竹内 聡川口 正展
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2000 年 43 巻 5 号 p. 373-377

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抄録

症例は神経性食欲不振症の16歳女性で経管栄養後に低血糖発作を認め精査となる. 空腹時の血糖, IRIは正常. エレンタール®注入 (750kcal/5h) 開始3時間後のIRIは1400μU/mlと著増し, 終了1時間後に低血糖 (31mg/dl) となった. 低曲糖時のGH, コルチゾール, グルカゴンなどインスリン拮抗ホルモンの分泌障害とプロインスリン/IRI比の上昇を認めた. 成分栄養から半消化態栄養経管投与への変更により本症例の低血糖は消失した, 本症例においては, エレンタール®の十二指腸への急速投与により, アルギニンなどが過剰にインスリン分泌を刺激し, かつ視床下部・下垂体系の機能障害なども有するため, 糖供給の中断により重篤な低血糖を起こしたと推測された. 神経性食欲不振症患者に対する成分栄養の経管投与に際しては, 低血糖の発症に十分な注意が必要であると考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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