糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
小麦アルブミン添加餌の長期投与がストレプトゾトシン糖尿病ラットの糖代謝へ及ぼす影響
森本 聡尚澤 純子吉田 宗儀穂積 俊樹末永 謙治宮崎 俊之北村 育夫土井 邦紘
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 43 巻 6 号 p. 421-430

詳細
抄録
小麦粉の水溶性蛋白画分である小麦アルブミン (WA) はアミラーゼ阻害活性を有し, 澱粉の消化吸収を遅延して食後血糖上昇を抑制する. 著者らは糖尿病ラット (50mg/kg BW STZ投与) においてWA (飼料中5%) の長期投与が糖代謝等へ及ぼす影響を検討した. 実験1では糖尿病ラットに高澱粉飼料を制限給餌により与え, 10週間飼育した.実験2では, 健常および糖尿病ラットにわが国の最近10年間のエネルギー栄養素別構成比率を模した飼料を自由摂取で10週間与え, その際の糖尿病およびWA投与による影響を検討した, 実験1ではWA投与は糖尿病ラットの経時的体重増加を促進し (p=0.02), 飼育9週目における経口糖負荷試験では血糖2時間値を低下させ (p=0.006), 耐糖能の改善に寄与した.実験2では糖尿病による体重増加抑制, 並びに糖尿病によるフルクトサミン上昇が, WA投与により軽減された (体重p<0.001, フルクトサミンp=0.02) 両実験において膵ラ島の萎縮はWA投与群の方が軽微であった. 以上の成績より糖尿病動物におけるWA長期投与による糖代謝の改善が示唆された.
著者関連情報
© 社団法人 日本糖尿病学会
次の記事
feedback
Top