症例は15歳, 男性. 平成7年10月 (12歳時) 糖尿病を指摘されたが, 食事療法によりHbA
1cは正常範囲に維持された. 平成10年4月, 運動部へ入部し, 生活習慣の変化と清涼飲料水の多飲により体重減少, 全身倦怠感が出現し, 6月30日意識障害のため当科入院. 入院時, JCS 30, 血糖745mg/d
l, 尿ケトン体強陽性, pH 6.893, HCO
3-1.3mmol/
lより糖尿病性ケトアシドーシス (DKA) と診断. 補液とインスリン投与によりDKAは軽快. HbA
1c 12.6%, 尿中CPR 64.4μg/day, 抗GAD抗体陰性. 食事療法のみにて血糖値の改善を認め, 2ヶ月後の75g糖負荷試験では境界型となった. 経過中, 血中膵酵素の上昇 (peak S-Amylase 727U/
l, P型89%) 及び横紋筋融解症を合併した. 本例は若年者2型糖尿病と考えられ, 運動部入部に伴う生活習慣の変化により糖尿病性ケトアシドーシスと血中膵酵素上昇, 横紋筋融解症を来した清涼飲料水ケトーシスの稀な1例と考えられた.
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