糖尿病
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低血糖性片麻痺を繰り返した1型糖尿病の1例
有安 宏之村上 典彦東 信之加藤 純子
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2000 年 43 巻 6 号 p. 443-448

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抄録

症例は, 20歳, 女性. 12歳から1型糖尿病のためインスリン治療中であった. 今回, 急性膵炎の力口療のため入院中に, 一過性の片麻痺を2回発症したが, その際の血糖値はそれぞれ41mg/dl, 36mgdlであった. ブドウ糖・蔗糖の投与により片麻痺は消失した. 頭部CT, 頭部MRIで脳血管疾患を認めず低血糖性片麻痺と診断した. 低血糖症の中枢神経症状として片麻痺を起こすことが国内外で報告されているが, その発症機序など詳細はいまだ不明のままである. また低血糖性片麻痺は, 脳血管疾患として扱われている可能性もあり, 糖尿病症例では片麻痺を認めた場合, 低血糖性片麻痺も念頭において検査治療を進めることが重要と思われる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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