糖尿病
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糖尿病運動療法としてのゴルフ練習の評価
藤沼 宏彰星野 武彦吉田 忍熱海 真希子山崎 俊朗清野 弘明菊池 宏明阿部 隆三
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2000 年 43 巻 9 号 p. 821-826

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抄録

中高年層で広く実施されているゴルフ練習の, 糖尿病運動療法としての有効性について検討した. 男性2型糖尿病患者18例を対象に2つの調査を行った (調査1: 9例, 調査2: 9例), 調査1では練習場でのショットを実施して心拍数, 血圧, 血糖変動を測定し, 無酸素性作業閾値に相当する心拍数を強度の指標にした自転車運動と比較した. 調査2は研究室内で回転式の練習機によるショットを実施し, 酸素消費量を測定して自転車運動と比較した、ゴルフ練習中の心拍数は無酸素性作業閾値に相当する心拍数を超える者が多かった. しかし, 予測最大心拍数の74.6%と, 糖尿病運動療法に対する運動強度として適度な範囲にあった. ゴルフ練習直後の血圧は自転車運動中の血圧よりも低い傾向にあった. ゴルフ練習は自転車運動と同様に, 昼食後1時間から1時間30分にかけての血糖上昇を抑制したが, 運動終了30分後のリバウンドは大きい傾向にあった. ゴルフ練習の酸素消費量は, ピッチングショット時には自転車運動より少なかったが, ウッドでのショット時には自転車運動と同様の値を示した, 酸素消費量から推定した総工ネルギー消費量は自転車運動と同様であった.これらのことからゴルフの運動の糖尿病運動療法としての有効性が示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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